川面流庭内禊(かわつらりゅうていないみそぎ)
川面流庭内禊について
禊は、伊邪那岐命が黄泉国で受けられた穢れを祓い清めるために、日向国の橘の小戸の阿波岐原で行った行為に由来し、清浄を尊ぶ我々日本人の先祖の間で広く行われていた風習です。
その後、時代の経過とともに廃れていたものを明治~大正期にかけて活躍した神道家である川面凡児先生が甦らせ、広く世に広められました。禊之宮の禊は、先代の巽健翁が川面先生より直に伝授されたものを今に伝えます。
川面先生が甦らせた禊は、単に体に水を受けるだけではなく、「鳥船(トリフネ)」と呼ばれる掛け声を伴う全身運動や、「息吹(イブキ)」と呼ばれる一種の呼吸法、また、「雄詰(ヲコロビ)」と呼ばれる一種の気合法などからなります。川面流の禊は、戦前に一世を風靡し、巽健翁以外にも多くの神道家へと受け継がれました。現在、神社本庁に取り入れられ、全国の神職の皆さんによって行われている禊も川面先生の流れを汲むものです。
庭内禊
さて、禊之宮で行われている禊ですが、「鳥船」「息吹」「雄詰」といった禊の作法自体は他の川面流の禊とそれほど変わるところはございません。それでは一番の特徴はなにかというと、禊之宮の禊は川面先生によって初代巽 健翁のみに特別に教えられた「庭内禊」であるという点です。通常、禊は海や川、滝などで行いますが、「庭内禊」では屋内の禊場で禊を行います。大自然のなかで行う禊の素晴らしさは改めて申し上げるまでもありませんが、現代では禊を行うだけの清浄な場所がなかなか見つからないのが難点です。禊によって逆に穢れをもらったのではお話になりません。
神様との交流
その点、よく清められた屋内の禊場で、新鮮な地下水を使って行う「庭内禊」はまさに現代にふさわしいものといえるでしょう。さらに、「庭内禊」のもうひとつのメリットは、禊場と同じ屋内に社殿もあるため、禊によって清められた状態で、そのまま神事に移れることです。これにより通常よりも一段と深い神様との交流が図ることができます。